カンジタ 痒み


医療の発展とともにHIV感染症は治療ができる病気になってきており、HIV感染症の治療は、エイズウイルスの増殖を抑える治療薬で行い、この治療法を抗HIV療法といいます。

抗HIV療法では、作用の異なる抗HIV治療薬を組み合わせて行い、これにより身体の中のエイズウイルスの増殖を抑えます。

そのことで、エイズウイルスが減少し、免疫力を回復することができるのです。


HIVは非常に変異しやすいウイルスであり、そのために未だにワクチンを作ることができていません。


そのため、かつては治療することすら困難でした。
HIV感染症の予後は極めて悪く、かなり高い確率でエイズを発症し、数年のうちに死に至る致死的疾患でした。


以前の1種類の抗HIV薬で行う抗HIV療法では、HIVはすぐに耐性を持ってしまうので効果がなかったのです。


そこで3種類の抗HIV薬を同時に使用することで、HIVが耐性を持ってしまうということを防ぎ、さらに薬の効果を持続させることができるようになりました。

この多剤併用法の開発によって体内のHIV増殖を抑えることが可能になり、この抗HIV療法を、ART(anti-retroviral therapy)と呼んでいます。

ちなみに、以前は多剤併用法はHAART(highly active anti-retroviral therapy)と呼ばれており、これらの抗HIV薬はHIVが体内で増殖する工程を阻害し、コピーを作らせないようにするという働きを持っています。

段々と免疫機能が衰えてしまいます。



元々、人間の体はHIVが感染した後に、HIV抗体を作りHIVを排除しようとする免疫機能が働きますが、HIVはその免疫機能の中枢細胞であるヘルパーT細胞に感染し、破壊するため、段々と免疫機能が衰えてしまいます。


そのためHIVを排除するスピードよりも、HIVが増殖するスピードの方が速くなります。
その結果、体内ではHIVが増殖してしまい、エイズ発症に至ってしまうのです。

ARTの目的はHIVの増殖を防ぎ、免疫細胞がHIVを排除するのを助け、体内のHIVを減らすということにあります。

実際に薬の効果でHIVがどのくらいまで減少したかを調べるために、HIV RNA量を測定しますが、このARTが適切に行われた場合においては、体内のHIV RNA量は測定限界以下となり、免疫力を復活させることができます。


しかし、それでも体内のHIVが完全に駆除できた訳ではありませんので、ARTを中断すればまたHIVは増殖してしまいます。では、ARTを何年も継続して、体内のHIVを完全に駆除することは可能なのでしょうか。

厚生労働省の「抗HIV治療ガイドライン」を見てみると、その中にその試算が掲載されています。

感染した宿主細胞の中でしか活性状態を保つことは出来ません。


HIVに限らずウイルスは細菌と異なり、自己増殖の機能がありませんので、感染した宿主細胞の中でしか活性状態を保つことは出来ません。

従って、HIVが感染したヘルパーT細胞の寿命が来て死んでしまえば、HIVもまた不活性状態となってしまいますので、それまではARTによって、HIVが増殖出来ないようにしておけばいいということになります。


ところが、ヘルパーT細胞の中には、メモリーT細胞という大変寿命が長い免疫細胞があり、このメモリーT細胞の寿命は数十年と推定されており、この中に侵入したHIVがしぶとく数十年の間、生き残ってしまうのです。

HIVの潜伏感染細胞の半減期はどのくらい??


前述の「抗HIV治療ガイドライン」によると、ART治療を行ったHIV感染者59人について、HIVの潜伏感染細胞の半減期(その量が半分に減る時期)を調べたところ、44.2ヶ月だったそうです。

HIVの潜伏感染細胞は1,000,000個あると推定されており、HIVを完全に排除するにはこれが0になる必要があります。

半減期の44.2ヶ月によって、このHIVの潜伏感染細胞の1,000,000個が0(1以下)になるには、20回目の半減期を迎える必要があり、44.2ヶ月×20回=884ヶ月で、実に73.4年もかかる計算になります。

つまり、理論上はARTを73.4年継続すればHIV感染症は完治できるということになりますが、実際問題として、これは机上の計算であり、患者が生存中に完治することは不可能であるといえるでしょう。


現状ではHIV患者は生涯治療となり、ARTを継続していくことが必要となります。

世界中で抗HIV医療は研究されています。


現在もなお世界中で抗HIV医療は研究されており、米テンプル大学の研究者チームで研究されているのが、HIVに感染した免疫細胞から一定のDNAを切り取ってHIVの影響を排除させる治療法です。


米テンプル大学の研究者チームは、HIVが増殖するために免疫細胞のDNAを一部書き換えるという性質に着目し、一定の酵素を使用することでこの書き換えられたDNAを切り取ることに成功しました。


これにより増殖ができなくなったHIVは死滅してしまいますが、この研究は大学の実験環境の話であり、実用化は先の話です。

しかし、実現した暁にはHIV感染初期に完治を目的とした治療法になると期待されています。


このように、世界中で様々な抗HIV医療の研究が行われていますので、まだまだ実用化には時間がかかるかもしれませんが、着実にHIV撲滅へと近づいていると思われます。


いつか本当にHIV感染症を完治出来る日が来るということを信じたいなと思います。

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